養志館道場訓

養志館道場訓は千葉県市川市にある人間禅教団付属剣道場宏道会の道場訓を使用しております。

「養志館道場訓の原本」 それでこれをなくさないように、持っているんだから、人からもらうんじゃない、教わるんじゃない、持っているんだから、そのものをなくさないように育ててゆくのが人間の一生涯の仕事。それを孟子という人は、この直進、それを【直を以って養うて害するなくんば、天地の間にふさがる】といっている。天地の間というのは、まず自分がおさまる、小学生なら小学生、先生がみても、親がみても、子供がみても「ああいい生徒だな!」と、それで大きくなって家庭をもてば家庭がおさまる。もっと出世して重要な位置につけば、どの場所でもおさまる。先ず身をおさめ、家をおさめ、国をおさめ、世界をおさめる。これが天地の間にふさがるという意味である。ただ直心を養ってゆきさえすればよい。それなら自分は持っているのだから修行なんかしなくてよいとそう思う。
 ところがそうでない直心に雲をかけるようにまわりが仕掛けてくる。それで修行がいるんですよ。今天地の間にふさがるといった孟子という人のお母さんは、孟子が生まれてから、3回住居を変えている。お寺のそばに住んだら、子供が坊さんの葬式のまねばかりしている。こりょ変だと、こんどは商いのところに行ったら、こんどは子供は物の売り買いのまねばかりしている。ここも駄目だと、しまいには学校のそばに行ったら、こんどは子供が勉強するようになった。3回変えている。それで賢人として後世に残るような立派な人になる土台ができたのです。まわりで悪くなる。皆さんもそうですよ。小さいときでも、悪い友達とつき合っていると悪くなる。そういうもんだからそこに修行がいる。修行もただ修行しろ修行しろでは駄目なんです。その直進がそのまま育つように自分で工夫して生活していくことが大切です。それを五つに分けて五つの戒としてお話しましょう。
                                                  (凌雲館において)より

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